第5回オリンピック教育フォーラム

第5回オリンピック教育フォーラム

2014年6月24日(火)、COREは第5回目となるオリンピック教育フォーラムを開催しました。
今回は筑波大学附属中学校、附属坂戸高等学校の担当教員から2013年度に実施された取り組みが紹介され、ディスカッションでは、2020年東京大会に向けたオリンピック教育・パラリンピック教育の実践方法について議論を行いました。文部科学省や東京都教育庁からの来賓を含め、計37 名にご来場いただきました。

1. 開会挨拶
石隈利紀(筑波大学副学長、附属学校教育局教育長)
2. 平成26年度CORE事業計画について
真田 久(筑波大学体育系、CORE事務局長)
3. ソチオリンピック・パラリンピックにおけるオリンピック教育プログラムに関する調査報告
大林太朗(CORE事務局)
4. 実践報告
・附属坂戸高等学校での取り組み
渡曾愛梨(附属坂戸高等学校)
・附属中学校での取り組み
長岡 樹 (附属中学校)
5. ディスカッション「オリンピック教育の実践をどのように体系化し、発信を行うか」
司会:荒牧亜衣(筑波大学体育系、CORE事務局)
6. 講評
引場信治様(東京都教育庁)


平成26年度CORE事業計画について
真田久(筑波大学体育系、CORE事務局長)

sanada
真田氏は、冒頭に現在2020年東京オリンピック・パラリンピックのオリンピック教育に関する現状の報告を行った。その後CORE 事務局長として、平成26年度CORE事業計画を以下の通り提示した。
(1)附属学校同士が連携し、小中高と特別支援学校におけるオリンピック教育モデルを開発
(2)国内におけるオリンピック教育の推進(2020年東京オリンピック・パラリンピック大学連携協定に基づいた他大学との連携)
(3)各国オリンピック研究・教育センターとの人材交流の推進

ソチオリンピック・パラリンピックにおけるオリンピック教育プログラムに関する調査報告
大林太朗(CORE事務局)

obayashi
大林氏は、本年3月にCOREが実施したソチオリンピック・パラリンピックにおけるオリンピック教育プログラムに関する調査について、調査地の概要とプログラム内容、それらを踏まえた2020年東京大会に向けたオリンピック教育に関するアイデアを示した。
2014年3月9日から3月14日までの日程で、本発表では主にロシア国際オリンピック大学(RIOU)と第15番学校(一校一国運動の日本担当校)に関する取材報告を行った。
前者に関しては、大会組織委員会関係者や地域住民へのホスピタリティープログラムの実施、修士課程の内容など、RIOUが大会までに実施してきた教育内容の紹介が行われた。後者の第15番学校に関しては、一校一国運動プログラムを通した日本社会や文化の学習に関する実践内容についてまとめ、「一校一国運動を通して、生徒に寛容さが身に付いた」との校長の話を紹介した。
最後に、2020年東京オリンピック・パラリンピックへ向けた示唆として以下の内容を提示した。
①大学によるオリンピック教育の対象は、所属学生だけでなく開催都市・国の地域住民を含められないか
②長野発の一校一国運動が多様な発展を遂げた。逆輸入して、発展させた形の新たなプログラムを考える必要がある
③パラリンピック開催中は、障害者を意識した特別な文化・教育プログラムの実施を考えられないか

実践報告1.附属坂戸高等学校での取り組み
渡曾愛梨(筑波大学附属坂戸高等学校)

suzuki
渡會氏は、附属坂戸高等学校において展開されているオリンピック教育の実践について紹介した。
昨年度、渡會氏が担当するキャリアデザイン(1年生対象)では、「武道とオリンピックからみる国際理解」をキーワードにオリンピック教育の実践が行われた。授業の展開方法として、グループワークを中心に行い、更に生徒自身による理解を深めることを目的にレポートの作成を実施したとのこと。
昨年度の実践から浮き彫りになった課題として、国際理解・国際平和へ関する取り組みと調べ学習が中心となり、体験学習が不十分になった点が挙げられた。
今後の取り組みとして、科目:国際社会においてもオリンピック教育に取り組む方針が示された。国際社会は総合教科として実施がされているため、他教科との連携が図りやすくなるとのこと。
最後に渡會氏から、今後の展望として以下の点が示された。
・附属坂戸高等学校の目標として、オリンピック教育という科目を開講する。
・オリンピック教育は単発的に行うのではなく、体系化された取り組みとして行うことで、学校教育へと発展していくことが想定される。
・更に大学と高校の連携を強くすることで、オリンピック教育をより深いものへ発展させる。

実践報告②附属中学校での取り組み
長岡 樹 (附属中学校)

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

長岡氏は附属中学校において実践しているブラインドサッカーを通じたオリンピック教育について報告を行った。実践が実施された授業は、長岡氏が担当する総合学習(中学3年生対象)において展開された。
この実践を行う目的として、長岡氏は生徒によるユニバーサルデザインやグローバル社会に(普遍的な物事)、他者への理解を挙げている。本実践のブラインドサッカーに関する指導は、日本ブラインドサッカー協会(以下:協会)の協力を得て実施されている。内容として、事前学習、体験学習、事後学習の3段階から構成され、事前学習では協会が作成した資料に基づいて、体験学習では、協会から派遣された講師によるブラインドサッカーの簡単な身体運動を中心に構成されたとのこと。
長岡氏は、実践から考えられる展望として、見方を変えることにより日常生活もオリンピック教育に発展する可能性があることについて言及した。

ディスカッション
「オリンピック教育の実践をどのように体系化し、発信を行うか」

今回のディスカッションは「オリンピック教育の実践をどのように体系化し、発信を行うか」と題し、荒牧亜衣氏(筑波大学体育系、CORE事務局)を司会とし、ディスカッションを行った。
ディスカッションに先立ち今井二郎氏(附属学校教育局教育長特命補佐)から平成26年度に実施する「共通コンセプトに基づく附属学校のオリンピック教育の取り組み等」について説明があった。現在、各附属学校において推進しているオリンピック教育について共通コンセプトを設けることにより、附属学校におけるオリンピック教育の価値が向上出来ると述べた。

今井氏の説明後、司会の荒牧氏から今回の主題である「オリンピック教育の実践をどのように体系化し、発信を行うか」について、多くの出席者から意見が下記の通り発言された。

浅野敦行氏(文部科学省)
文部科学省では、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けてSport for tomorrowを実施いる中で、日本におけるオリンピック教育は重要なものになる。現在、東京都では独自にオリンピック教育推進校を指定するなど、取り組みを行っているが、文部科学省ではオリンピック教育を日本全国で展開する必要がある。オリンピック教育を全国展開するには、現在筑波大学が取り組んでいる附属学校における実践教育やCOREの活動をモデル作りの基礎としてパッケージ化することが必要である。

中塚義実氏(筑波大学附属高等学校)
現在オリンピック教育の実践を行っているが、授業を記録として残すことは生徒の指導などを行う中
で難しい現状がある。今後、オリンピック教育を教材化するには記録として収集することが必要だと考えるため、教師のほかに授業の記録をする者を予算化して配置することが必要になるのではないだろうか。

宮崎明世氏(筑波大学体育系)
オリンピック教育の発信を行う方法として、ワークショップの開催を検討している。ワークショップでは、まずは東京都のオリンピック教育推進校を中心に、学外に向けて参加を呼びかける。これまでの附属学校の取り組みを紹介し、新たな指導例や計画を検討することができると考えている。次年度からは前年度参加者の実践報告を行い、アワードの形に発展できればいいのではないか。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

講評
引場 信治氏(東京都教育庁)

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
引場氏は、東京都教育庁という立場から現在のオリンピック教育の現状を中心に講評を述べられた。
現在、学校における指導現場ではオリンピック教育とはどういったものなのかについて共通理解が不十分といえるため、附属学校で実施している先行事例は共通理解をするうえで意義があると述べられ、東京都はオリンピック教育推進校を指定し、オリンピック教育を実施しているが、これらは今後2020年東京オリンピック・パラリンピックにおける教育のレガシーとなることを示唆した。
また、本フォーラムの大林氏によるソチオリンピックにおける地域に対するオリンピック教育の実施や、長岡氏のブラインドサッカーを用いたオリンピック教育は今後の可能性を秘めていると述べられた。
最後にオリンピック教育は体育として実施するだけではなく、各教科において横断的に展開できる視点を踏まえることが必要であると述べられた。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です