(茨城県)ひたちなか市立佐野小学校

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【目的・ねらい】

オリンピック・パラリンピックに関する知識を身に付け,スポーツの価値を再認識するとともに,障害のある人の生き方や考え方について学び,夢に向かって努力することができる児童の育成を図る。

【実践内容等】

1 教師の願い
○本事業を通して,865名の児童一人一人に,「感動」を与え,「笑顔」にさせ,「思いやりの心」を育ませたい。

児童は,オリンピック・パラリンピックに対し関心をもっているのか?

2 オリンピック・パラリンピックに関するアンケートの実施

○ オリンピックを知っていますか。   (全児童対象:10月15日実施)
知っている  93%     知らない    7%

○ パラリンピックを知っていますか。
知っている  78%     知らない   22%

○ 今年のオリンピック・パラリンピックが行われた国を知っていますか。
知っている  49%     知らない   51%

○ 2020年に行われるオリンピック・パラリンピックの国を知っていますか。
知っている  61%     知らない   39%

【アンケート結果から】
○オリンピック・パラリンピックに関する児童の関心を高める必要がある。
○特に,パラリンピックについては,競技等を紹介するなど具体的な教育活動を展開する必要がある。

3 オリンピック・パラリンピック教育の全体計画の立案
(1) 立案のポイント
○ オリンピック・パラリンピック教育と関連する教育活動は,何か。
→どの教育活動でできるか
→どのような活動ができるか

(2) オリンピック・パラリンピック教育の全体計画
① オリンピック・パラリンピックギャラリーの設置
② 道徳の時間における教育
③ 外国語活動における教育
④ 人権教育の実施
⑤ パラリンピアンとのふれあい集会の実施
⑥ 障害者スポーツ「ボッチャ」の体験
⑦ おもてなしの心やマナーの教育

4 具体的な取り組み
(1) 環境づくり『オリンピック・パラリンピックギャラリー』の設置
オリンピック・パラリンピックへの児童の関心を高める手立てとして,職員室廊下にオリンピック・パラリンピックギャラリーを設置し,オリンピック・パラリンピックの歴史や精神,関連する新聞記事や児童の感想等を掲示した。

(2) 道徳の時間における教育
道徳主任・道徳部員を中心に,オリンピック・パラリンピック教育に関連する内容項目の検討をした。

内容項目を「思いやり」「親切」「郷土愛」「愛国心」「国際理解」に絞り,各学年で道徳の授業を実施した。
<5年 国際理解「世界の人々とつながって」>

(3) 外国語活動における教育
ア 毎時間,ウォーミングアップの時間に,AETとともに外国の人とのあいさつの仕方の練習をした。
イ 6年生では,2つの単元「Turn right !」「Let go to Itary」において,オリンピック・パラリンピックに向け,児童にとって必要であろう会話について,AETとともに繰り返し練習をした。

< 6年生 Turn right ! >
外国の人に道を尋ねられた時の答え方や案内の仕方の練習

< 6年生 Let go to Itary  >
さまざまな国の名前の言い方にの練習

ウ 2つの単元の後,6年生全員で各国の国旗を作り,その国旗を「パラリンピアンとのふれあい集会」や「おもてなし講座」の会場に掲げた。

(4) 人権教育の実施
オリンピック・パラリンピックの教育の根底にあるのは,「人権教育だ」と考えた。そこで,法務省から出ている資料「いっしょに学ぼう!障害のある人に人権」が,各学校に配付されていることを知り,法務省と水戸の法務局に問い合わせ,450冊の資料をいただいた。この資料は,オリンピック・パラリンピックについて絵と分かりやすい文章で説明されており,大変効果的な資料であった。本校では,この資料を活用し,全学年で人権について学習をした。

(5) パラリンピアンを招いた交流会「パラリンピアンとのふれあい集会」の実施
日本ウィルチェアラグビー協会のご協力をいただき,北京・ロンドンパラリンピックの2大会に出場し,リオパラリンピックでは,アシスタントコーチを務めた「三阪 洋行氏」とリオパラリンピック銅メダリストの「羽賀 理之選手」を招き,交流会を実施した。交流会は,集会委員会の児童が計画を立て,児童主体の交流会となった。この集会の様子は,NHKでも放映され,児童はもちろん,オリンピック・パラリンピックに対する保護者の関心を高めるイベントとなった。

この集会を通して,わたしたち教員が何時間もかけて授業を行うより,「本物に触れる」ということが,一番子どもたちの心に響くということを実感した。また,お二人からは,「できない」じゃなく,どうすればできるか工夫すること」「たくさんの違うに出会うこと」「続けることで夢はかなう」というお言葉をいただき,まさしく,児童一人一人が,『感動』『笑顔』いっぱいの時間を過ごすことができた集会となった。
<児童の感想・・集会を終えて>

今まで,自分はやりたい事や本当の夢を誰にも伝えないで黙っていました。今回の「パラリンピアンとのふれあい集会」を通して,三阪コーチと羽賀選手の言葉を聞いて,自分も心の中にある思いを伝えなきゃ,行動にうつさなきゃいけないと思いました。そして,三阪コーチと羽賀選手のように自分もいつか夢を実現したいと強く感じ,教えて下さった「続けていれば夢は叶う」と言うことを心に刻み,お二人のかっこいい姿を忘れずにがんばります。     6年 R,S

(6) 障害者スポーツ「ボッチャ」の体験
体育部が中心となり,障害者スポーツの一つである「ボッチャ」を授業の中で扱うことにした。授業で使用するボッチャ用品は,大阪にある日本ボッチャ協会に問い合わせ,3セットお借りした。協会の方によると,現在,各地から貸出の依頼が殺到しているそうだ。なお,授業を行うにあたり,事前に体育主任が講師となり,職員研修を行った。このスポーツの良さは,いつでも,どこでも,そして,だれにでもできるスポーツだということである。また,ボッチャについては,ネットでも競技に関する情報が多々あり,4年生は,インターネットからボッチャのルールや競技に関する動画をアップし,児童に見せ,教室でボッチャを楽しんだ。

<職員研修の様子>

<授業の様子>

(7) 「おもてなし講座」(保護者:自由参観)の体験
日本航空客室乗務員で筑波大学客員教授の江上いずみ先生を講師に招き,オリンピック・パラリンピックで海外の人を温かく迎えるためのあいさつ仕方やおもてなしの心,マナーについて学習した。あいさつには,「同時礼」と「分離礼」があり,本当のおもてなしのあいさつは,相手の目を見てあいさつをし,それからおじぎをすることや「アイコンタクト」「笑顔は,1円もかからないおしゃれ」だということなどたくさんのことを学ぶことができた。

<おもてなし講座の様子>

<朝のあいさつの様子>

<児童の感想>

5 成果
(1) オリンピック・パラリンピック教育を進める上で,本校の教育活動に関連することをポイントに教育課程の中でのオリンピック・パラリンピック教育の位置づけを考え,オリンピック・パラリンピック教育の全体計画を立てた。そのことにより,さまざまな教育活動においてオリンピック・パラリンピック教育を推進することができた。その結果,教育課程において,オリンピック・パラリンピック教育と関連する活動が多々あるということを再認識した。また,全学年で取り組める内容であったことも大きな成果だったと言える。

(2) 児童は,これらの教育活動を通して,オリンピック・パラリンピックに関する知識を身に付け,スポーツの価値を再認識するとともに,障害のある人の生き方や考え方について学び,夢に向かって努力することができる児童の育成を図ることができた。

<児童のアンケート結果>(全児童対象:2月20日実施)
○ 2020年に行われるオリンピック・パラリンピックに関心がありますか。
ある 100%     ない 0%

【オリンピック・パラリンピック教育の実施に伴う問題点】

○学校予算だけでは,備品や教材の確保や人材等の交渉に限界がある。
○保護者や地域への啓発や連携が必要である。