(宮城県)大崎市立古三小学校

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【目的・ねらい】

○ 本校では,これまでにも地域の伝統文化について調べたり,体験したり,福祉体験等を通して障害者福祉,老人福祉について学ぶ活動を行ってきている。地域の伝統文化や地域の人々との関わりを大切にしながら学ぶことで,地域を愛する心を育んできた。また,全校児童が福祉体験教室を体験し,障害についての理解を深め,他者を思いやる心を育んできた。本実践を通して,日本,地域の伝統文化を深めること,障害者理解,障害者スポーツの理解を深めることを目的とする。

○ 本実践により,地域の伝統文化や人々の生き方から学び,自分の思いや考えを表現し,よりよい生き方を探るとともに,それを実践していく児童の育成を目指す。

【実践内容等】

1 実施学年 第3学年 (男子58名・女子65名・計123名)
【テーマ】: Ⅳ 日本文化と異文化・国際理解
【種類】:総合的な学習の時間

◇ 単元名「古川大好き」
(1) 小単元名:古川まつりを調べよう
古川地域の伝統文化「古川まつり」「大名行列」等について調べる活動を行った。古川まつりに関しては,実際に七夕飾りを作成し展示を行った。また,古川まつりに関して古川商工会議所から講師を招き,まつりの歴史や内容について説明をしていただいた。

(2) 小単元名: 古川のじまんをまとめよう
古川まつりに参加している「古川太鼓」の団体を招き,和太鼓についてのお話を聞き,その後に質問に答えていただき,和太鼓について理解を深めた。また,和太鼓演奏の体験を行い,地域の伝統文化について理解を深めた。(日本伝統文化理解)

2 実施学年 第4学年 (男子56名・女子57名・計113名)
【テーマ】: Ⅱ おもてなし精神とボランティア
【種類】:総合的な学習の時間

◇ 単元名「三小夢色市場」
(1) 小単元名:商品を作ろう
八百屋市見学で体験したことを振り返り,夢色市場に向けてどんな商品を作るか,また,オリンピックやパラリンピック,世界の国々の国旗に関連した商品作りを考え,グループごとに作成した。

(2)  小単元名:市場を開こう
夢色市場の商品作り,ポスター作り,保護者や3年生に向けての招待状作り,夢色市場の準備を行い,体育館において学習参観日に夢色市場を開いた。4年生の保護者,職員は実際に購入し,3年生児童は,引換券で買い物体験を実施した。
また,実際の売上金でサッカーボールを購入し,各学級に配付した。

3 実施学年 第5学年 (男子51名・女子50名・計101名)
【テーマ】: Ⅲ パラリンピックと障害者スポーツ
【種類】:総合的な学習の時間

◇ 単元名「地域の中の自分」
(1) 小単元名:福祉について調べよう
障害,障害者,障害者スポーツ,パラリンピックについて,インターネット,図書室の書籍等を使い調べ,障害者理解を深めた。また,グループで調べたことを壁新聞形式にまとめ発表会を行った。

(2)  小単元名:地域の施設を訪問しよう
社会福祉協議会職員を講師に福祉体験(老人福祉)学習を実施した。足,腰の不自由さや耳の聞こえ方,目の見え方等の不自由さを体験する学習を行った。また,訪問前に「認知症」についての講話をしていただいた。
地域内にある老人福祉施設(ディサービスセンター)を訪問した。介護士や職員の方から施設の説明を受け,施設内を見学させていただいた。特殊入浴装置体験,リフトカー,車椅子等の体験活動もさせていただいた。また,施設を利用している高齢者の方々と一緒に体操,ゲーム,折り紙,歌を歌う等の交流を行った。

4 実施学年 第6学年 (男子56名・女子63名・計119名)
【テーマ】: Ⅱ おもてなし精神とボランティア
【種類】:総合的な学習の時間

◇ 単元名「きらり すてき 発見」
(1) 小単元名:仕事を実際に体験しよう(一日職場体験)
大崎市古川地区の24事業所に一日職場体験を依頼し,実際の仕事を体験した。どの職場でも共通している働くことの大切さについて考えた。
活動のまとめの発表会を開いた。

(2) 小単元名「おもてなし講座」
児童に異文化理解やマナー向上をねらいとして「おもてなしの心」をテーマにした講演を実施した。講師は,江上いずみ 氏(筑波大学客員教授),演題は,「おもてなしの心と異文化理解~2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて~」として講演を聞き,日本文化の良いところやマナーについて,具体的な事例をもとに説明され,児童は理解を深め,おもてなしの心,日本人としての誇りと自覚を高めることができた。

5 実施学年 全校児童 (男子366名・女子350名・計716名)
【テーマ】: Ⅲ パラリンピックと障害者スポーツ
【種類】:生活科,総合的な学習の時間

◇「福祉体験教室」
(1)  1,2年「障害の体験」生活科
利き手と反対の手で着替えをしたり,ぬり絵や文字を書いたりした。また,目隠しをして友達に手を引いてもらって歩く体験を学級ごとに実施した。

(2) 3年「盲導犬とのふれあい教室」総合的な学習の時間
盲導犬協会の職員の方,盲導犬を連れた視覚障害者の方に来ていただき,盲導犬とのふれあい教室を実施した。視覚障害者の方と盲導犬の関係や日常生活,盲導犬の仕事や子どもたちが盲導犬と出会った時にしてはいけないことなどを学んだ。

(3) 4年「手話体験」総合的な学習の時間
耳が聞こえない人の生活や手話について手話ボランティアの方から教えていただいた。簡単なあいさつや短い単語など実際に体験した。手話で伝えることの難しさや大変さを学ぶことができた。

(4) 5年「点字体験」総合的な学習の時間
点字ボランティアの方に来ていただき,実際に点字に触れて学んだ。「点字を読んでみよう」の資料をもとに点字についての説明を受け,50音表,学校名,十二支の点字を読む活動を行った。

(5) 6年「車椅子・白杖体験」総合的な学習の時間
社会福祉協議会職員が講師となり,2人ペアになって白杖を使って,階段を昇り降りしたり,障害物にぶつからないように歩いたり,補助したりした。車椅子体験では,平らなところだけでなく,段差があるところやマットの上などを移動し,大変な思いをしながら生活していることを実感できた。

6 実施学年 全校児童 (男子366名・女子350名・計716名)
【テーマ】: Ⅰ オリンピズムの教育的価値
【種類】:オリンピック・パラリンピック関係の掲示,
第2学期始業式,校長よりオリンピックのお話

◇「オリンピック・パラリンピック関係の掲示」
校長室前廊下に,リオデジャネイロオリンピック・パラリンピックでの日本人の活躍や本校での取組を掲示し,意識の高揚を図ってきた。また,夏休み中に行われたリオデジャネイロオリンピックでの日本人の活躍から元気とやる気をもらったこと,これから始まるパラリンピックについてお話をした。

(実践上の工夫点、留意点等)
1 伝統文化への理解の深まり
3年生の古川大好きの活動では,古川まつりの七夕飾りの作成と展示,古川まつりに関しての講話,和太鼓の体験活動等,実際に体験活動を通して地域の伝統文化について理解を深められるように活動を設定した。

2 オリンピック,パラリンピックへの関心の高まり
夢色市場に向けて,オリンピックやパラリンピック,世界の国々の国旗について関心がもてるように事前に学習し,子どもたちの発想を生かした関連商品作りができるように工夫をした。

3 パラリンピック,高齢者福祉への関心の高まり
福祉体験活動をきっかけに,障害者スポーツについて調べる活動を行った。テレビのパラリンピック放送を話題にして関心を高められるようにした。グループごとに壁新聞形式でまとめられるよう書籍やインターネット資料を準備した。

4 おもてなし精神とボランティアの関心の高まり
おもてなし講座の学習をもとに,実際の職場体験で接客マナーや事業所への挨拶について,失礼のないように事前指導を行った。

5 福祉体験活動
全学年が通過方式で障害者理解の体験活動を行っている。6年間で様々な障害について,時間は短いが理解できるように配慮している。また,障害者理解とパラリンピックとの関連が理解できるように事前事後の活動を工夫している。

6 「オリンピック・パラリンピック関係の掲示」
リオデジャネイロオリンピック,パラリンピックの日本人選手の活躍や本校での取組を紹介することによって,自分たちが行っている活動とつながっていることを理解できるように努めた。

(成果)
1 伝統文化への理解の深まり
3年生の古川大好きの活動では,古川まつりに七夕飾りを作成,出展や和太鼓の体験活動等,実際の体験活動を通して実感を伴った地域の伝統文化について理解を深めることができた。発表会でも充実した総合の発表会を行うことができた。

2 オリンピック,パラリンピックへの関心の高まり
夢色市場の活動を通して児童の感想から,国旗に関連した商品を作成したことで,オリンピック,パラリンピックに出場している国々の名前,国旗について興味関心の高まりが見られた。

3 パラリンピックへの関心の高まり
障害者理解,パラリンピックについて関心の高まりが見られた。高齢者福祉についても見学交流を通して関心,理解に深まりが見られた。

4 おもてなし精神とボランティアの関心の高まり
おもてなし講座から,児童はおもてなしの心,日本人としての誇りと自覚について理解の深まりや関心の高まりが見られた。また,実際の職場体験でも学習したことを実践することができた。

5 福祉体験による障害者福祉への理解の深まり
全学年が通過方式により障害者理解の活動を行っている。児童の体験活動後の感想からも障害者の大変さ,努力のすごさ,生活の工夫,実際に障害者と出会った場合の対応,声掛けの仕方など理解に深まりが見られた。

6 オリンピック・パラリンピックへの関心の高まり
夏休みのリオデジャネイロオリンピック,2学期のパラリンピックの日本人選手の活躍等を掲示することによって,オリンピック・パラリンピックへの関心が高まり,活動の関連性にも関心をもつきっかけとなった。

【オリンピック・パラリンピック教育の実施に伴う問題点】

オリンピック・パラリンピック教育を効果的に進めるためには,年度当初に年間の計画をしっかり立てる必要があると考える。今年度は取組のスタートが2学期になってしまい,見通しをもって推進できなかった。推進リーダーの選出,校内推進委員会等の組織作りが必要であると考える。