(宮城県)仙台市立原町小学校
(宮城県)仙台市立原町小学校
原町小学校 ①
【目的・ねらい】
・トップアスリートとの出会い,交流からオリンピック・パラリンピックに興味関心を持たせる。
・元女子100メートルハードル日本記録保持者から走り方の基本を学び,自ら運動に親しむ児童を育てる。
・トップアスリートの指導を校内持久走大会への意欲につなげ,児童が自らが主体的に取り組む学校行事とする。
【実践内容等】
1年生から5年生まで学年毎に,元女子100メートルハードル日本記録保持者の大朝尚子さんから走り方やハードルの基本を学んだ。大朝さんからはオリンピックを逃した悔しさやその後の努力についても話していただき,児童は目標を持つことの大切さも学ぶことができた。
走り方の学習では直線コースを使い,スタートの仕方や走りのコツ,高学年にはハードルの跳び方を分かりやすく伝えていただいた。どの学年の児童も生き生きとした表情で楽しく運動に取り組んでいた。
また,オリンピック出場を目指し日々努力したこと,しかし,わずか0.03秒足りずにオリンピック出場を逃したこと,悔しい思いをしたがそれが今の自分につながっていることなども話していただき,児童は真剣に耳を傾けていた。
(実践上の工夫点、留意点等)
・学年毎の実施とし,児童の実態に合わせた指導を行った。
・指導の内容を実際の教育活動に生かすため,校内持久走大会の1週間前に出前授業を計画した。
・トップアスリートの指導を通してスポーツの持つ魅力に触れさせ,自ら運動に親しむ児童を育成するよう学年の実態に応じて事前,事後の指導にも配慮した。
(成果)
・トップアスリートから直接指導を受けたり,話を聞くことができたりしたことはスポーツや運動に対する子供たちの興味関心を高め,事後に実施した校内持久走大会に向け意欲的に取り組む結果となった。
・努力しても願いが叶わないことがあること,それでもあきらめずに次の目標に向かって取り組むことが大事であることを児童に実感させることができた。
・トップアスリートによる指導は体育の授業づくりの上で大いに参考になった。教師の指導力向上,授業の質の向上につながった。
【児童の感想から】
・走ることはあまり得意ではないけど,今日教えてもらったことをいっぱい練習します。
・大朝さんにスタートの仕方を教えてもらいました。上手にスタートできるようにしたいです。
・オリンピックに出れなくても次の目標に向けて頑張るのがすごいと思いました。
・大朝さんに教えてもらったので,持久走大会では10位以内を目指して頑張りたいです。
・ハードルの跳び方が分かった。来年の陸上記録会で生かしたい。
【オリンピック・パラリンピック教育の実施に伴う問題点】
・オリンピック・パラリンピック・ムーブメント推進校としてどのような取組をしていけば良いのか手探りで進めてきた。年度当初にもう少ししっかりした計画を立てるべきだった。
・実際に取り組んでみると,これまで行ってきた教育活動とリンクできる部分が多いと感じる。
オリンピック・パラリンピック教育の視点から見直した全体計画が必要だと思う。
・トップアスリートによる授業を実施する場合の予算確保は大きな課題である。また,オリンピアンやパラリンピアンに関する情報が学校では乏しい。
原町小学校 ②
【目的・ねらい】
・オリンピアンによる出前授業を通してオリンピック・パラリンピックに興味関心を持たせる。
・元体操オリンピック出場選手である田中光さんによる体操教室を通してスポーツに関心を持ち自ら進んで運動に親しむ児童を育てる。
・体操教室で学んだことを体育学習に取り入れるとともに,授業以外の体育活動を充実させ児童の体力向上につなげる。
・オリンピック選手の話を聞くことにより,東京オリンピック・パラリンピックに関心を持ち,自分ができることを考えさせる。
【実践内容等】
2年生児童全員が,元オリンピック選手の田中光さんから,楽しく体を動かす体操の仕方や跳び箱運動の基本・こつを楽しく学んだ。講話では考えて行動することの大切さ,体をたくさん動かしたり,何かに挑戦したりする楽しさなどについて話していただいた。
跳び箱運動の準備として行ったのは,田中さん自らが考案したというリズム体操。フロアに並んだ75人の児童は,ステージ上で軽やか,かつ,リズミカルに動く田中さんを見ながら,一生懸命にその動きをまねした。準備運動とはいうものの,屈伸をしたりジャンプをしたりと体全体を使うので運動量が大きい。
10曲以上のリズム曲に合わせて休みなく繰り返し行ったのでどの児童もたくさん汗をかき,体を動かす楽しさを実感した。
跳び箱では,跳び越すというより,跳び箱を跳ぶリズム習得を指導していただいた。跳び箱は高低差を付けず,どのグループも3段で統一。踏み切りのタイミング,手の付き方,体の投げ出し方などを繰り返し練習した。児童は軽やかに跳び越したいという願いを持って,生き生きとした表情で喜んで取り組んでいた。
マット運動の模範では,連続前転,倒立前転,開脚後転などの大技を披露していただいた。児童は目の前で見る美しい技に驚いただけでなく,いつか自分もやってみたいという挑戦意欲も高めることができた。
(実践上の工夫点、留意点等)
・運動の楽しさや喜びを,より一層味わわせて中学年につなげたいと考え,2年生を対象とした。
・苦手意識が多い跳び箱運動の基本とこつをつかめるような内容とした。
・トップアスリートの指導を通じて,スポーツの持つ魅力に触れさせるとともに,楽しくできる運動の仕方を学び,自ら運動に親しむ児童を育成するよう,リズム体操をたくさん取り入れた。
(成果)
・トップアスリートから学ぶことは大きい。田中さんは児童に「今日は考える力を学習する」とめあてを伝え,何度も「考えて行動してみよう」と声掛けをしていた。ただ体を動かすのではなく,田中さんと同じように動くためにはどうしたら良いのかと,考えて手を上げたり足をキックしたりする児童だった。今も田中さんの「考えて」という言葉が生きている。その後の体育でもふと立ち止まって考えたり,自己のプレーを振り返ってやり直したりする児童を見掛けた。
・けがをしてオリンピックに出場できなかったが,諦めずに努力してアトランタオリンピックに出場した経験から児童に語り掛ける言葉の効果が大きい。「諦めないで」「考えてやってみよう」など,温かい励ましの声が児童に響いた。多くの子供に,自ら体を動かそうという気持ちになったり,力一杯運動することができたりしたと実感させることができた。
【児童の感想】
・リズム体操はすごく楽しかった。全部できたからうれしいです。
・体操が全部できた。すごく頑張りました。
・田中さんはすごい。自分もできるようにいっぱい練習します。
・跳び箱はこわくないと思った。高い段を跳び越したいです。
・諦めないで頑張って,いろいろな運動に挑戦したいです。
【オリンピック・パラリンピック教育の実施に伴う問題点】
・オリンピック・パラリンピック・ムーブメント推進校としてどのような取組をしていけば良いのか手探りで進めてきた。年度当初にもう少ししっかりした計画を立てるべきだった。
・本実践は株式会社デサント主催の授業に応募して実現したが,トップアスリートによる授業を実施。
原町小学校 ③
【目的・ねらい】
・一人一人がお互いに個性を認め合い,協力してより良く生きようとする態度を育てる。
・自国のことを知り,他国の文化や伝統を理解しようとする態度を育てる。
・自分の考えをしっかり持ち,相手に伝えるコミュニケーション能力を育てる。
【実践内容等】
・イタリアの国旗や食べ物,生活の様子,学校生活の様子などについて話を聞く。
・フィリピンの国や文化などについて話を聞いたり,フィリピンの遊びを実際にやってみたりする。
・インドネシアやベトナムの文化や習慣について話を聞いたり,それぞれの国の遊びや歌を紹介してもらったりする。
・紹介してもらった遊びを実際にやってみる。
(実践上の工夫点、留意点等)
・児童が話を聞くだけではなく,映像を見たり体を動かしたりすることができるように,紹介の仕方をお願いした。
・上記の理由から,視聴覚室やホール等,広く使える場所で行った。
(成果)
・イタリアやフィリピン,インドネシア,ベトナムの国や生活,食べ物などについて話を聞くことにより,興味を持たせることができた。
・講師から紹介された遊びを実際に体験させることで,外国の文化に触れる楽しさを味わわせることができた。
【児童の感想】
・外国人と初めて接して,とても楽しかった。
・今までやったことのない遊びを紹介してもらって,日本とは違うんだなあと思った。
・イタリアの人はナポリタンを食べないと知って,びっくりした。
【オリンピック・パラリンピック教育の実施に伴う問題点】
・オリンピック・パラリンピック・ムーブメント推進校としてどのような取組をしていけば良いのか手探りで進めてきた。年度当初にもう少ししっかりした計画を立てる必要があった。
・オリンピック・パラリンピック・ムーブメント教育はこれまで行ってきた当校の教育活動とリンクする部分が多いと感じる。オリンピック・パラリンピック教育の視点から見直した全体計画が必要である。