(京都府)京都市立烏丸中学校
(京都府)京都市立烏丸中学校
【目的・ねらい】
オリンピック・パラリンピックの価値
友情( ○ ) 卓越( ) 尊重( ○ ) 勇気( ○ ) 決断力( ) 平等( ○ ) 鼓舞( )
【目的・ねらい】
障害を持っている人への偏見を取り除くことや、学年・クラス内でのいじめ・差別に対してみんなで考える。また本時の経験より、勇気や希望を持って努力しようとする態度を育てる。
【実践内容等】
1.事前指導
10月 「学年通信」に「リオ・パラリンピック」大会の日本選手の活躍を紹介。
11月 道徳・総合的な学習の時間を利用して、車椅子バスケットボールに関連する映像(DVD)を視聴してルール等の学習をする。
・資料1 「限界はつくらない!車椅子バスケットボール 藤澤潔の挑戦」(「グッと!スポーツ」NHKより)
・資料2 「車椅子バスケで夢を駆けろ 元Jリーガー車椅子バスケットボール選手 京谷和幸」(「アンビリーバボー」フジテレビより)
・資料3 「プロ車椅子バスケットボール選手 岩野 博」(「情熱大陸」TBSより)
12月 学年集会で「車椅子バスケットボール体験教室」の実施にあたり、学習の意義や気持ちを生徒たちに伝える。
2.車椅子バスケットボール体験教室
(1)京都市教育委員会・体育健康教育室参与 坂野晴男先生よりルール説明等の解説をしていただく。
(2)山本英嗣選手、東武史選手のお二人に実技指導をいただき、生徒全員で前進、後進のリレーを行う。
(3)山本チーム(1組)、東チーム(2組)にそれぞれ分かれ、生徒5名ずつに山本選手、東選手に参加していただき、2分×7ピリオドのゲームを全員参加で行う。
(4)試合後、山本選手より約30分の講話をいただく。
(実践上の工夫点、留意点等)
(1)「車椅子バスケットボール教室」の体験をよりよいものにするために、事前学習指導の時間をしっかりと確保した。
(2)少人数の利点を最大限に生かし、1年生全員(54名)がリレー体験、ゲーム体験の時間をより多くした。
(3)PTAの「家庭教育学級」との連携を図り、保護者や地域にも発信した。
(成果)
・生徒の感想より
ぼくは車椅子バスケットボールを楽しむだけでなく、そこから人権について学ぼうと思い体育館に行きました。車椅子バスケットボールでは、タイヤにボールをつけてボールを取るのがかっこよかったです。ぼくは試合をしながら車椅子に少しずつ慣れていきました。最初のショットを決めることができたのがうれしかったです。でもそれ以上に山本選手、東選手が笑顔だったことが印象的でした。もしぼくが自分の足が動かなくなったら笑顔になれないと思いました。僕は今まで障害のある方をかわいそうだと思っていました。でも今回の人権学習でその考えをやめようと思いました。今回、烏丸中学校に来てくださってすごくいい体験ができました。ありがとうございました。
(1組 男子)
実際に車椅子に乗ってバスケをしたり、お話を聞いたりしたのを通してとても楽しかったし、それだけではなく、障害を持つ方について、そして人権について深く考えられる機会になりました。私の心に残っている言葉は『障害者は不便だけど不幸だとおもったことは一度もない』という言葉です。『かわいそう』という言葉を使う人は思いやりを持って言っているのかもしれないけれど、一種の差別の言葉なのかなと思いました。
この学習を通して当たり前に生きていることに感謝して、誰もが暮らしやすい街を自分の意識で作っていくことが大切だと思いました。
(1組女子)
車椅子バスケットボールやリレーでは初めは車椅子をうまくこげるか不安でしたが、乗ってみたら意外と上手くこげてリレーでは追いつくことができました。ショットも2回決めることができてすごくうれしかったです。山本選手の話を聞いて、すごくメンタルが強く、根性がある人だなぁと思いました。プレーも速くてすごかったです。これからも山本選手が話してくださったことを大切にして忘れないようにします。
(1組 男子)
過去に辛いことがあっても今は笑っていられる・・・そんな強い人になりたいなって思えました。私も以前に大きな怪我をしてわかったことがあります。私は3~4ヶ月くらい右手が動かせなくなってしまいました。何も自分でできなくて、いらついたりもしたけど、家族が助けてくれて、初めて『家族ってこんなに温かかったっけ?』と思えるようになりました。今、大好きなバレーが5年目です。練習中しんどくなってさぼったりしていたけど、上手くなりたいから自分の限界をこえてみようかなぁって思えることができました。私の将来の夢はまだ決まってないけれど、みなさんのように強く、笑顔で優しい人になりたいと思いました。本当にありがとうございました。
(2組 女子)
普段、ぼくたちが全く気にしていないような所で困られているということを知りました。例えば、マクドナルドの押したり引いたりするドアが入りにくかったり、ちょっとした段差が登れないといったことです。先生がおっしゃっていた『障害を持つ方ではなく、健常者の私たちが障害を作っている』ということにも納得できました。失礼ですが、ぼくも最初は障害を持っておられる方はかわいそうだと思っていました。しかし、山本さんのお話を聞いたり、東さんのプレーを見ているとなんだか元気をもらうような感じがして、体験の後はそんな考えはなくなりました。
(2組 男子)
私はパラリンピックで車椅子バスケットボールを観ていました。それを実際に体験できると知った時は本当に嬉しかったです。私は車椅子バスケを体験して感じたことが2つあります。1つ目は『みんなで支え合う楽しさ』です。失敗しても『ドンマイ!』とか『次いける!』とかそんな励ましの声を掛け合えばきっと成功する。と私は感じました。それはバスケだけではありません。他のスポーツでもそうだし、日常生活でも使うことができます。その言葉を大切にこれからも『みんなで支え合う楽しさ』を忘れず、日々を送っていきたいです。2つ目は『どんな時も笑顔』です。山本選手のお話にもあったように時には笑えない瞬間だってあると思います。でも笑顔じゃない人を笑顔にするのが仲間です。やっぱりお互いが支え合っていくことが大切だと思います。私も少しでも役に立てたらなぁと思います。今回は貴重な時間、体験をさせていただき本当にありがとうございました。
(2組 女子)
【オリンピック・パラリンピック教育の実施に伴う問題点】
本年度は第1学年のみの学習であったが、全校生徒が150名程度の本校では来年度以降、全校参加型の体験学習を実施できればと思う。今回の体験を普段の学校生活や社会福祉に対する意識を深めさせて行くことが大切であると考える。