(福岡県)岡垣町立戸切小学校

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【目的・ねらい】

○インターネットを使い、リオデジャネイロ・オリンピックについて調べさせることを通して、オリンピックに興味を持つことができるようにする。

○タグラグビーを通して、今まで知らなかった魅力的な球技があることを知らせるとともに、これまで体育が好きでなかった児童が、積極的に参加できるようにする。

【実践内容等】

実践を始める前に、児童にアンケートをとった。
まず、好きなスポーツについては「野球」「ドッジボール」等の球技が上位を占めた。しかし、実際の体育の授業の中で実施している球技系領域で何の種目が好きかを尋ねると、多くの児童が「ドッジボール」を挙げ、続いて「サッカー」「特にない」と答えた。
このことから、球技が好きであるにも関わらず、体育の授業で、児童にとって魅力的な教材があまりなかったということが分かった。

そこで、中学年の担任と話し合い、児童にとって接触などの大きな負担や個人差に関係なく魅力がある「タグラグビー」を教材として取り扱うこととした。

1 児童の興味・関心を高める動機付け
児童への動機付けとして、インターネットで「リオデジャネイロ・オリンピック」について検索して調べさせた。児童は、日本人選手が活躍した競泳や柔道などの動画や写真を喜んで観ていた。また、陸上競技で有名なボルト選手の動画にも興味を示していた。
その中で、400mリレーで日本チームが銀メダルをとったことにも興味を示し、「なぜ、9秒台の選手がいない日本が2位になったのだろう。」と疑問を持っている児童がいた。これに対して「例えば100mを10秒で走る人がスピードを落とさず1人で400m走るのと、同じ人がリレーで4人いるとして走るのとではどちらが速いか」考えさせた。結果として、リレーはバトンタッチのところが0秒になるので、およそ2~4m速くなることが分かった。
調べる中で、「リオデジャネイロ・オリンピックで新設された競技」を見付けさせた。児童は一生懸命探し、「ゴルフ」と「7人制ラグビー」が新規競技であることを見つけた。児童にゴルフは体育ではできないが、ラグビーは体育でできることを伝えると、「ぜひ、やりたい。」と答えた。
児童は、「ラグビーをしたい。」という興味・関心が高かったが、ラグビーそのものは危険が伴うので「タグラグビー」という競技があることを知らせ、タグラグビーについて、どのような競技かどのようなルールがあるかなどについて学習させた。

2 実践(導入段階:講師招聘授業)
タグラグビーを始めるにあたって、児童の学習に対する意欲を高めるために、福岡県ラグビー協会から講師を招聘し、導入授業を行った。
授業では、タグラグビーを始めるにあたっての道具の説明やタグの装着の仕方などについて説明をしていただいた。特に、ボール操作については、楕円形のボールであることから、持ち方や投げ方、捕り方が、普通のボールと違うことを説明していただき、受け取り方や投げ方などの基礎的な技術について学習した。(下の写真参照)

ルールやゲームの仕方については、予め学習していたので、次に、簡単なゲームを行った。このゲーム中は、ボールより前で受け取ることができないこと(スローフォワード)やボールを前に落としてはならないこと(ノックオン)など初めてやってみたゲームが、今まで経験してきたゲームと違うことに難しさを感じているようだった。また、ボールが楕円形をしていることにも、違和感を感じている児童もみられた。これらのことは、今後の授業の中で慣れていく必要があると感じた。

ルールやボールに慣れることは課題であったが、「得点を入れたら、みんなで一緒に喜ぼう。」という指導や「ゲームが終わったら、ノーサイドといって、敵・味方がなくなって、みんなで頑張ったところを称え合うんだよ。」という、ラグビーの精神について教えていただいたことは、児童にとって態度を身に付けることに有効であった。

【児童の感想から(抜粋)】
○初めてタグラグビーをしたけど、初めはボールを持つことが難しかった。でも、だんだん慣れてきて、面白くなってきました。
○今までは、相手にボールをぶつけるように投げていた。「取ってね。」と思いながら、味方にパスするところが、初めての経験だった。うれしかった。
○得点した時に、みんなで喜ぶところがよかった。これからもみんなで喜びたい。

3 実践(展開段階・終末段階)
講師招聘授業も含めて全9時間の単元で授業を組んだ。
【3・4時間目】
講師招聘授業を参考にしてボールの扱い方や投げ方を中心に学習した。前ページの写真同様にボールの受け取り方や円陣をつくってパスの仕方を練習した。毎時間の最後に、ミニゲームを設定したが、どうしてもボールを前に投げてしまうという課題が残った。

【5・6・7時間目】
ここでは、ミニゲームを中心に授業を実施した。1単位時間の流れを①ゲームⅠ→②話し合い→③ゲームⅡ→④反省会(次時につなぐ)というパターンで学習を仕組んだ。ゲームを繰り返し行い、話し合いを行う中で、児童の課題は「なぜ、ボールを前に投げてしまうのだろう。」ということであった。はじめは、児童自身に考えさせたが、なかなかいい解決方法が出なかった。そこで「ボールを前に投げてしまうのは、味方が前にいるからではではない?」というヒントを与えた。これがきっかけとなり、児童間で「ボールより後ろに下がれ!」や「前に居る人は、後ろに行こう。」などの掛け声を出すようになり、スローフォワードが激減するようになった。

【8・9時間目】
まとめのゲームを中心に実施した。この頃になると、ボールの扱いやルールにもかなり慣れてきて、ゲームらしいものができるようになってきた。さらに、今までの「ドッジボール」や「サッカー」の学習では、なかなか活躍できなかった児童が得点をするシーンが多くみられ、そのことを他の児童とともに喜ぶ姿がみられた。

【単元を終えての児童の感想:抜粋】
○はじめは、ボールの形が変だったし、ボールより後ろにいることに慣れなかった。でも、授業が進んでいくうちに慣れてきて、とても面白くなった。これからも、タグラグビーをしたい。

○わたしはドッジボールが苦手で、タグラグビーも嫌だなと思ってしていた。でも、だんだん授業に慣れてきたら、初めてトライすることができた。とても嬉しかった。タグラグビーが大好きになった。

○タグラグビーは、ボールをぶつけることがないし、転ぶ以外はケガをすることもなかった。わたしは運動が苦手だったけど、味方が点を入れてみんなで喜ぶところが大好きです。そして、試合が終わって、ノーサイドで敵も味方もなく、みんなでお疲れ様でしたというところも好きです。

(実践上の工夫点、留意点等)
○単元の導入段階で福岡県ラグビー協会より、専門的に指導できる講師を招聘し、指導を仰いだことは、大変効果的であった。

○招聘した講師より、「みんなで喜ぶことが大事」であることや「ノーサイドの精神」を指導していただいたことが、児童にとってとても良かった。

○タグラグビーは、普通の球技とルールやボールの形状が違うことが、児童にとっては適度な負荷となった。最初は、ほとんどの児童が戸惑っていたが、慣れてくるにしたがって自分たちで簡単な作戦の工夫を考えるようになった。

(成果)

○授業後のアンケートでは、タグラグビーをもっとしたいという児童が多かった。社会体育で野球やサッカー等を習っている児童も、「タグラグビーは、とても楽しい。」「もっと続けたい。」と答えている。

○この学習を行う前にはスポーツが苦手・球技が苦手であると言っていた児童が、この学習を通して、タグラグビーが大好きになったことが分かった。原因としては、激しい接触プレーがないことや、自分が初めて得点する喜びを味わったこと、またラグビーの精神を教えてもらったことなどが挙げられる。

○児童の運動量が増えた。サッカー等では、苦手な児童はじっとしてボールを追いかけようとしなかったが、タグラグビーでは全員がボールの後ろをついていくことで、自分にもボールが回ってくるため、そのような児童も一生懸命に走っていた。このことが運動量の増加につながったと考えられる。

【オリンピック・パラリンピック教育の実施に伴う問題点】

○「オリンピック・パラリンピック教育」だからといって、有名な講師や選手を招聘しての授業をしなくてはならないわけではなく、オリンピックについて、自分ができる種目やそれに類似した種目を児童に体験させることで、十分に興味・関心を高めることができると考える。パラリンピックについては、本校が昨年度実践したように、障がいがある人がそれに負けず、いろいろな競技に積極的に参加している様子や、その精神に触れることが大切であると考える。