(茨城県)県立北茨城特別支援学校

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【目的・ねらい】

・スポーツへの楽しみ方を広げ,関心・意欲を高める。
・スポーツをとおして,多様な文化に触れる機会とする。

【実践内容等】

≪小学部≫
1 外部講師によるスポーツレクリエーション体験学習
(1)実施内容
「スポーツへの興味・関心」を高めることを目的とし,小学部全学年を対象としたレクリエーションスポーツ体験学習を行った。
講師として茨城県障がい者スポーツ指導者協議会の長野正文さんを招き,簡単で楽しく体を動かすことのできるレクリエーションスポーツを紹介していただいた。新聞紙を袋に詰め紐を付けて投げる「ターザン投げゲーム」,いくつかの穴の開けたブルーシートに向かってお手玉を落とさないように投げる「お手玉ゲーム」,輪にしたホースに袋を付けてターゲットのコーンに向かって投げる「ホースリング投げ」などを体験した。また,教員を対象とした実技指導も行い,「卓球バレー」や「ボッチャ」,「ラガーゲッター」などの競技ルールや指導方法を受けた。

(2)成果
学年や実態に応じて難易度を調整したり,児童の興味を惹く教材を使ったりと,ゲーム形式で進めてくださり主体的に活動する様子が見られた。児童からは「すごく面白かった。」「どうしたらもっと上手くなるのだろう。」などの感想があり,レクリエーションスポーツに対する興味・関心が高まったことや体を動かすことの楽しさを実感する様子が見て取れた。
また教員への実技指導を行っていただいたことで,指導にあたっての配慮事項や共通理解事項を教員全員で確認することができたとともに,今後の体育指導の参考となった。

2 きたとくオリンピックの開催
(1)実施内容
スポーツレクリエーション体験学習を受け,児童の興味・関心や実態に応じて競技種目をアレンジし,「小学部きたとくオリンピック」を実施した。競い合う楽しさやオリンピックへの興味・関心を高めることができるように事前にオリンピックのDVDを鑑賞する時間を設けたり,メダルの制作に取り組んだりした。競技種目は個人で行う種目として,「ストラックアウト」「お手玉投げ(ボールをキープ)」「輪投げ」「キックでねらえ」を設定した。団体で行う種目として「卓球バレー」も加え学年ごとのチームで競い合った。

(2)成果
きたとくオリンピックは,1回目は開会式,2回目は閉会式を含めて2回に分けて実施したことで,児童が期待感と達成感をもって取り組むことができた。閉会式では,メダルの授与も行い,児童たちのがんばりを表彰した。個人種目では,得点表を見ながら友達と競い合う姿が見られ,団体種目ではお互いに声を掛け合い,楽しくチームで対戦する姿が見られた。
今回の「きたとくオリンピック」をとおし,体を動かす楽しさはもちろん,“もっとやりたい”“もっと上手くなりたい”といった児童のスポーツへの興味・関心だけではなく,オリンピックへの関心も高まったことを感じ取れた。

3 スポーツに関するアンケート
(1)実施内容
本事業を受け,事前事後にアンケート調査を行い,児童の意識がどのように変化したか,調査を行った。
(2)成果

事前・事後のアンケート結果から,スポーツに関心をもち,オリンピックやパラリンピックに関する認知度が増えたことが分かる。また,「知っているスポーツは?」という質問を競技種目別に行ったところ,オリンピック競技にはない相撲は,事後アンケートにおいて変動がなかった。このことから,小学部で取り組んだ,スポーツレクリエーション体験学習,きたとくオリンピック,オリンピックDVD鑑賞をとおして,実体験や映像,本などのイメージできるような教育実践が,必要だと考える。

【オリンピック・パラリンピック教育の実施に伴う問題点】
●教員の障害者スポーツの知識や技術の向上をしていくこと。
●各学年のねらいを明確にした活動計画を立てていくこと。

≪中学部≫
1 総合的な学習の時間「異文化を知ろう」での取り組み
(1)実施内容
総合的な学習の時間に外国の文化を調べたり,ALTと交流をしたりする学習を展開している。そこで,本事業を受け,今年リオデジャネイロオリンピック・パラリンピックが開催されたことを踏まえ,文化の中に「スポーツ」の観点を取り入れ,調べ学習やALTとの交流を行った。また,生徒のオリンピックへの意識を把握するために,単元の最初と最後にアンケートを実施した。調べ学習では欧州,アジア,北中米,南米,アフリカに分かれ,各地域の一部の国に絞り,クラス単位で調べた。

ALTとの交流ではアメリカで有名な観光名所や食べ物,スポーツの話があり,最後にスポーツかるたを行った。

(2)成果
調べ学習において,スポーツの分野で生徒が調べた内容は「オリンピックで金メダルをとった種目」「オリンピックのメダル数」「国技など有名なスポーツ」であり,たくさんのスポーツの名前を知り,オリンピックが「スポーツの大きな大会」というイメージをもつことができた。
調べた種目の中には,初めて知った種目や聞いたことはあるが自信をもって答えることができない種目があったが,動画を見ながら学習を進めたことで,競技名と競技内容が一致し,オリンピック種目への理解を深めることができた。
ALTとのスポーツカルタでは,オリンピックで実施されているスポーツを取り上げ,スポーツ名を英語で読み上げることで生徒が復唱するなど楽しみながら取り組んでいる様子が見られた。事後アンケートでは,オリンピックで見てみたい種目の欄に英語で記載する生徒がおり,興味をもって学習することができた。
アンケート結果より,オリンピック種目や次回のオリンピックが東京で行われることなどの知識が増え,オリンピックで見てみたい種目が増えた。

2 保健体育「器具を使った運動をしよう」での取り組み
(1)実施内容
中学部では,マット,平均台,跳び箱を使用した器械運動の学習を行った。発表会を行い,「きたとくオリンピック」と名付けた。導入で五輪マークを提示したり総合的な学習の時間で学んだことを振り返ったりした。「きたとくオリンピック」に向けて技を練習し,演技内容を自分で決め,内山選手から指導を受け,発表することで,器械運動の楽しさ,オリンピックへの関心が高まるようにした。
(2)成果
ア きたとくオリンピックについて
演技の発表会を「きたとくオリンピック」と名付けたことで,目的意識が高まり,生徒は意欲的に取り組んだ。
イラスト入りの学習カードの使用により,見通しをもって演技内容を決めることができた。技の達成度が視覚的にわかり,演技内容を決めるときの参考になった。
「きたとくオリンピック」では,開会式,閉会式,演技への得点での評価を行い,発表会に緊張感が生まれ,授業後のアンケートでは「緊張したけどがんばった」「難しい技ができるようになりたい」と達成感や演技への意欲が高まった。

イ 内山選手との授業について
2回目の「きたとくオリンピック」の前に内山選手が来校し,演技披露,講演,実技指導が行われた。
内山選手から直接指導を受け,足を閉じて前転ができるようになったり,跳び箱が跳べるようになったり両手を伸ばしてフィニッシュポーズができるようになったりし,技術の向上が見られた。また,技術の向上により,体育の授業,マット運動,跳び箱が好きと答えた生徒が増えた。
アンケート結果から内山選手の演技を見たことで,東京オリンピックへの興味関心が高まった。

体育,器械運動に関するアンケート

【オリンピック・パラリンピック教育の実施に伴う問題点】
●実体験を伴うことが理解につながるが,いかにそのような機会を設けていくか。
●中学部段階における「オリンピック精神」の活用や「おもてなし」や「ボランティア精神」の醸成の指導方法。
【オリンピック・パラリンピック教育の実施に伴う問題点】

≪高等部≫
1 総合的な学習の時間(ALTと交流)での取り組み
(1) 総合的な学習の時間の中での異文化体験交流
高等部ではALTのジョセフ・ブライヤー先生を講師に招いて,アメリカの人気スポーツやオリンピック競技,有名なスポーツ選手などの学習に取り組んだ。

(2) 成果
外国の習慣や文化,スポーツなどの説明を聞くと外国について興味・関心が高まり,英語や日本語,ジェスチャーなどを交えてコミュニケーションを図ることができた。英語でのやり取りの楽しさに気づき,スポーツの名前を英語で話したり,聞いたりすることができた。また簡単なゲームを通じて,友達同士で競い合いながら楽しく活動し,英語を身近に感じられた。

2 保健体育 外部講師による授業
【パンポン】
(1)実施内容
日立市パンポン普及推進協議会,3名による,パンポンのラケット操作についての説明,実技(サーブ,ラリー),審判について,ゲームの指導を受けた。
(2)成果
パンポンの激しいラリーを初めて見ることで,パンポンをやりたいという意欲が高まった。さらにラケット操作の仕方など技術的指導もしてもらい,ラケットの操作性に幅が出てきた。外部講師を招くことで,生徒も新鮮な気持ちで取り組む様子が見られた。

【フィールドホッケー】
(1)実施内容
菅原健太先生(県立東海高校ホッケー部顧問)による実技指導及び講義が行われた。ホッケーの魅力の説明を聞き,実技(エンジンパス・ドリブル・シュート),ゲームに取り組んだ。

(2)成果
本物のホッケースティックやボールを触らせてもらい自分たちが使っている物より重く硬いことを知ることができた。実際のシュート映像やドリブル映像を見て,スピード感あふれるスポーツだということを知ることができた。講師の話をよく聞き,一つ一つの動きを確認しながらドリブルやシュートを行い,試合でも,約束を守って行うことができた。
※この他にも本校の教員である卓球とバスケットボールの専門家による授業も行った。

3 おもてなし講座について
(1)実施内容
講師に江上いずみ先生(筑波大学客員教授,Global manner代表)を招き,演題 グローバルマナーとおもてなしの心~2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて~の講座を受講した。自己紹介,挨拶や報告の仕方について,分離礼についてロールプレイを行った。

(2)成果
会場全体が講話に引き込まれ,自然と話を聞く姿勢が見られた。「英語がかっこいい,私も勉強したい。」と英語に興味をもつ生徒がいたり,分離礼を知り,他の場面で実践する様子が見られたりした。また,相手の目を見て挨拶をする生徒が増えた。

オリンピック・パラリンピック教育の実施前,実施後でアンケートを行った。体験をとおした学習を行うことで,オリンピックのことを知る生徒が増えた。またオリンピック・パラリンピックに対して好意的な意見をもつ生徒や2020年に東京で行われることを知る生徒も増え,今回の学習が生徒にとってオリンピック・パラリンピックについての興味関心を高めるものとなった。

【オリンピック・パラリンピック教育の実施に伴う問題点】
●他教科との関連性や年間指導計画にどう組み込んでいくか。
●パラリンピック教育をもっと充実させていく手立て。

≪全校≫
1 オリンピアンによる講話,実技披露
(1)実施内容
2016リオデジャネイロオリンピック 体操競技女子団体4位 内山由綺さんを招いて,平均台,床の実技披露,体操器具体験,対談形式による講話,質疑応答を行った。

(2)成果
・演技を見ると体育館が静まり返り,宙返りの着地音まで聞こえ,盛大な拍手に包まれた。
・児童生徒から「すごーい。」「かっこいい。」という言葉があちこちから聞こえた。
・タンブリング板の床で跳ねたり,高い平均台に乗ったりと体操器具に直に触れ,体験することで,より体操競技を身近に,楽しく感じることができた。
・講話では小学校,中学校,高校と各年代での内山さんの過ごし方や目標などを聞き,自分と照らし合わせている児童生徒がいた。また「好きなことをもっと好きになって取り組んでいってほしい。」というメッセージを受け止めていた。
・質疑応答ではたくさん挙手する姿が見られ,「好きな食べ物」「どうやったら身体が柔らかくなるか」など自主的に質問する児童生徒の姿が見られた。
・オリンピアンと直接触れ合い,演技を見たり,聞いたりすることで,児童生徒に感動,興奮,尊敬など感情が揺さぶられる様子が見られた。

2 環境の整備,ギャラリーの設置
(1)実施内容
オリンピック・パラリンピックのポスター作成やオリンピック・パラリンピックギャラリーの設置を行った。


作成したオリンピックのポスター


オリンピックギャラリー


オリンピック・パラリンピック周知のための掲示物

(2)成果
高等部生徒が,オリンピック・パラリンピックのポスターを作成し,校内の各部の昇降口に掲示したり,大きなオリンピックマークとともに東京オリンピック・パラリンピックの掲示物を作成したりした。また,オリンピックのエンブレムや目的,各学部で学習しまとめたものを掲示したギャラリーを設置した。児童生徒がオリンピック・パラリンピックに触れる機会を多くしたことで興味関心を高めることに繋がったと考える。

【オリンピック・パラリンピック教育を実施して】

本校は知的障害児の教育を主とする特別支援学校である。今回小学部1年生から高等部3年生の幅広い実態の中でどのようなことができるかと考えたときに,各学部で児童生徒の実態に応じた教育を進めることを第一とした。各学部の取組に加え,オリンピアンである内山由綺選手の講話や実技披露を全体で実施し,本校のオリンピック・パラリンピック教育とした。
各学部の取り組みの内容こそ違うものの,共通することは「実際に体験・経験し学ぶこと」で児童生徒の学習が深まることが改めて分かった。今回の経験を2020東京オリンピック・パラリンピックにつなげるためにも引き続き,「体験・経験型」の学習をとおして日頃の体育の授業や部活動の充実に加え,スポーツに対する興味関心を高める活動をしていく必要があると感じた。