(福岡県)県立福岡視覚特別支援学校

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【目的・ねらい】

○力士や呼出しの方々の身体や出で立ち、振る舞いなどを近くで見たり、触ったり、声を聞いたりすることで、スポーツでもあり、日本特有の文化でもある国技「相撲」について学ぶとともに、その他の日本文化やさまざまなスポーツに対する興味を広げる。

○力士を力いっぱい押したり、ぶつかったりするなどの、全身のすべての力を外に出す活動を経験することで、自分自身の身体イメージを高めたり、身体の動かし方・使い方を学ぶ。

【実践内容等】

1 めあての確認
体育館に集合し、本時のめあてを確認した後、全体で相撲について事前の学習を行った。(実態に合わせて、学級等で前日までに事前指導を行った。)

2 取組を見る・聴く
来ていただいたお二人の力士による実際の取組を間近で見学した。テレビやラジオでしか見ることや聴くことができなかった、呼出しや取組が目の前で行われた。

3 相撲体験をする
幼児児童生徒自身で考えたそれぞれの「四股名」で一人ひとり呼び出してもらい、相撲体験を行った。幼児児童生徒の実態合わせて、「まわし」も締めてもらった。大きな体や力強さに驚きながらも、それぞれが全力で取り組むことができた。


4 「櫓太鼓」を聴く
「寄せ太鼓」と「はね太鼓」を呼出しの方に実演してもらった。体育館中に響き渡る太鼓の大きな音に、びっくりする幼児児童生徒もいたが、音に慣れてくると、普段聴いていとリズムとは異なる太鼓のリズムに聴き入っていた。

5 質問タイム
「ご飯はどれくらい食べるのですか?」や「1日何回、お風呂に入りますか?」等の質問が出た。「1回に大きなどんぶり5杯は食べる」や「1日5回くらいお風呂に入る」と聞くと、食べる量やお風呂の回数から、それだけ体を動かして稽古することに気付くことができた。また、朝ご飯を食べずに稽古することや、1日2食ということに、自分たちとの生活と比べて驚いていた。

6 お別れの挨拶
幼児児童生徒を代表して、児童会長からお礼の挨拶の後、記念写真撮影を行った。また、お礼として、米や野菜を幼児児童生徒から手渡した。握手をしてもらう幼児児童生徒もおり、手の大きさに驚いていた。

(実践上の工夫点、留意点等)
○ 8月末の説明会を受け、九州場所の直前に、「相撲」を計画したため、実施まで時間があまりなかった。次年度以降は、早い段階から計画する必要がある、

○ より相撲を理解しやすいように、四股名を決めたり、相撲についての事前学習を行った。(映像の視聴、体育科での取り組み等)

○ 意欲的に学習できるように、学級通信等で「相撲体験」のことに触れ、家庭でも「九州場所」を話題に挙げてもらうようにした。

○ 事後学習に活用できるように、交流した力士の「星取り表」を昇降口に掲示した。

(成果)
○ 自分の四股名を呼び出してもらうことで、恥ずかしがりながらも意欲的に活動に取り組むことができた。また、事前指導とあわせて、この体験を通して「相撲」に興味・関心をもつことができた。

○ 実際に取り組みさせてもらうことで、力士の大きさや力強さを体験することができた。また、「櫓太鼓」や「呼出し」の独特の言い回しを聴くことで、伝統文化に五感を通して触れることができ、実体験による学びが必要な視覚に障害のある子どもたちにとって非常に有意義な学習であった。

○ 次の日の朝刊に、カラー写真と共に記事が掲載された。オリンピック・パラリンピック・ムーブメント事業の実践を地域に紹介できた。

【オリンピック・パラリンピック教育の実施に伴う問題点】

○ 本校の幼児児童生徒にとって、卒業後も運動を継続する習慣を身に付けさせるには、視覚に障害があってもできるスポーツの体験やスポーツを通した成功体験を積み重ねることが重要だと考える。今後、子どもたちの興味を広げるために、様々なスポーツの紹介や保護者への理解啓発が必要である。