(宮城県)県立利府高等学校

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【目的・ねらい】

○障害者スポーツの体験を通して視野を広げさせることで、スポーツへの多様な関わり方を学ぶ。

○2020東京オリンピック・パラリンピック競技会への関わり方を考えさせる。

○様々なスポーツの振興発展に寄与できる資質や能力を育成する。

【実践内容等】

本校では昨年度に引き続き、オリンピック・パラリンピック・ムーブメント全国展開事業の指定校となり、「パラリンピックと障害者スポーツ」を研究題材として取り上げ、上記の実践研究タイトルに基づいて4つの実践に取り組んだ。

1.視覚障害者誘導体験
8月26日(金)と9月16日(金)のスポーツ総合演習の時間を活用し、視覚障害者誘導体験を行った。目隠しをした状態だと、普段歩きなれた校地内であっても、足を一歩前に踏み出すことがいかに困難であるか、生徒たちはこの体験を通して痛感したようである。また、近くで支えてもらえることのありがたさや、温かい声をかけてもらえた時の心強さ、さらには視覚障害者の方が安心して歩を進めるためには、歩く速度を確認するためのコミュニケーションが不可欠であることなど、生徒たちは様々なことを感じながらこの時間を過ごしたようである。

2.パラリンピック金メダリストの講演
9月30日(金)のスポーツ総合演習の時間を活用し、ソウルパラリンピックにおいて、柔道86kg級で金メダルを獲得した宇和野康弘氏から「視覚障害とスポーツ」と題した講演をしていただいた。生徒たちは宇和野先生が獲得した金メダルを直に触らせてもらったり、視覚障害者を誘導するときのポイントや、視覚障害者の方を見かけたときの声のかけ方を教えてもらうなど、今後につながる具体的なアドバイスもいただくことができた。

3.障害者スポーツ体験
本校ではスポーツ科学科で学ぶ者として、競技力向上に関する知識・技能について学習することはもちろん、これからの社会でスポーツの振興発展に寄与していくためには、健常者に対するスポーツというだけではなく、障害者スポーツという視点にも触れておく必要があると考え、障害者スポーツの学習を行っている。これまでは、パラリンピックの正式種目であるゴールボールと、障害の有無に関わらず誰でもできるニュースポーツとして全国に広まったフロアバレー(起源は明らかではないが、1960年代に各地の盲学校で盛んに行われていた盲人バレーボールから改名された)について学習していたが、本年度は新たな試みとして仙台に拠点を置くブラインドサッカーチーム「コルジャ仙台」の協力を得て、ブラインドサッカー体験にも取り組むことができ、充実した障害者スポーツ体験ができたと考えている。

(1)ゴールボール:視覚障害者の選手たちが行う対戦型のチームスポーツである。

(2)フロアバレーボール:視覚障害者と健常者が一緒にプレーを楽しめるように考案された。

(3)ブラインドサッカー:視覚障害者視覚を閉ざした視覚健常者が行うサッカーで、B1(全盲)とB2/B3(弱視)の2つのクラスがある。

4.修学旅行における障害者スポーツ体験(H28.12.7 於:文京区スポーツセンター)
本校スポーツ科学科では、本年度の修学旅行で「障害者スポーツ研修」を取り入れた。下記の3つの障害者スポーツから興味のあるものを生徒に選択させ、それぞれ1時間30分程度の研修を行った。

(1)ボッチャ
障害者の中でも、とりわけ脳性麻痺などにより運動能力に障害がある競技者向けに考案された障害者スポーツで、リオパラリンピックでは日本チームが銀メダルを獲得している。

(2)車いすバスケットボール
宮城県には「宮城マックス」という車いすバスケットボールのクラブチームがあり、リオパラリンピックにも選手を輩出している。生徒たちもその存在は熟知していたが、今回、この競技に触れる機会に恵まれ、車いすバスケットボールへの関心がより一層高まったようである。

(3)ブラインドサッカー
2004年のアテネパラリンピックで正式種目となり、国際的にも盛んに行われているブラインドサッカーであるが、今回、日本のブラインドサッカー界においてトップクラスで活躍している方の指導を受けることができ、充実した時間を過ごすことができた。生徒たちはその技術の高さを目の当たりにし、大きな刺激を受けたようである。

(実践上の工夫点、留意点等)
本年度、「スポーツを通して地域の方々とつながりをもつ」という点を意識した。本校の活動が多くの方々に支えられて成り立っていることを生徒たちに実感してもらうことはもちろん、この学習が校内だけにとどまらず、地域に発信していくことによって一つの形となっていくということ、また、その発信する役割を私たちが担っているということを、今後も生徒に伝え続けていきたい。

(成果)
障害者スポーツの授業後にアンケートを行った結果は下記の通りです(回答:77名中、77名)

<質問1>あなたは「障害者スポーツ」を学習して、ためになりましたか?
(ア)はい(92.3%)
(イ)どちらかといえば、はい(7.7%)
(ウ)どちらかといえば、いいえ(0%)
(エ)いいえ(0%)
アンケートからも読み取れるように、「障害者スポーツ」を学んでためになった、という意見が大半であり、どちらかといえば、はいという意見と合わせると77名全員がためになったと回答した。

<質問2>今年度、行った授業で印象に残っているものは何ですか?(複数回答可)
(ア)視覚障害者誘導体験(18.2%)
(イ)宇和野先生の講演会(19.5%)
(ウ)ゴールボール・フロアバレーの体験(32.7%)
(エ)ブラインドサッカーの体験(67.5%)
(オ)修学旅行における障害者スポーツ体験(42.9%)
上記5つの取り組みをしてみたが、どの取り組みも生徒たちそれぞれの印象に残ったようである。本年度、新たに取り入れたブラインドサッカーの数値が高いことが際立っているが、(ア)~(ウ)の活動が前段階であったことにより、より一層ブラインドサッカーの授業の効果が高まったもの考えられる。また、修学旅行においての障害者スポーツ体験が印象に残ったと回答した生徒も4割以上おり、生徒たちにとって大変有意義な研修だったことが窺える。

<質問3>「障害者スポーツ」を体験して、どんな感想を持ちましたか?
(ア)この経験を生かして、将来は障害者スポーツに関わってみたい(5.2%)
(イ)この経験を生かして、今後も障害者スポーツの勉強を続けてみたい(14.3%)
(ウ)障害者スポーツというものに興味を持つことはできた(79.2%)
(エ)障害者スポーツを体験したが、今後この内容を深めるつもりはない(0%)
(オ)その他(1.3%)・・・意見)障害者スポーツの体験ができ、たくさんのことを知ることができて良かった。
(エ)障害者スポーツの内容を今後深めるつもりはない、と回答した者が1人もいなかった。このことから生徒たち一人ひとりが高い意識をもちながら2020年を迎えられるのではないかと感じることができた。

<質問4>障害者スポーツを体験して学んだことは何ですか? *以下、生徒たちの意見を抜粋
・障害のある人でも、自分たちと同じようにスポーツに取り組み、楽しんでいるということ
・障害があることがハンデではなく、障害をもっている人の方が優れていることがあるということ
・視覚障害者の方に会った際の声がけ、誘導の仕方、今後に生かせると思う
・スポーツに関わっている視覚障害者の方が日々大変な努力を積み重ねているということ
・目が見えないことへの恐怖、視覚障害者の方の不安な気持ち
・普段自分たちがいかに視覚に頼って生活しているか、視覚障害者の方の普段の生活の難しさ
・スポーツが障害をもった方の生きがいになっているということ、色々な形のスポーツがあること
・スポーツはサポートする人がいないと成り立たないということ
・協力することの大切さ、コミュニケーションの大切さ
・調べて学ぶだけではなくて、実際に体験することの大切さ
・視覚障害者の方のどんな状況でも前向きにいられるメンタルの強さ
・目が見えないというハンデを感じさせない強さ
・障害者の方の気持ちや感覚を知ることができた
⇒それを知ったうえでの晴眼者の行動、どのように生活すればよいのか考えることができた
⇒晴眼者である私たちは障害がある方たちをサポートする責任があるということ など
<質問4>については自由記述とした。主な回答は上記のとおりである。本年度一年間の取り組みを通して、生徒たちが心と体で感じ取り、学んできたことが今後の生活に生かされ、2020年になんらかの形で花開くことを期待しているところである。

最後に、一年間の「障害者スポーツ学習」アンケートから生徒の感想を紹介し、本年度の報告書のまとめとしたいと思います。
○視覚がないだけでとても不安になって、周りの音や声がけがとても大切なのだと思いました。また、点字ブロックの上には自転車は置かないようにしようと思いました。もし置いてあったら、自転車を移動して、目が見えない人でも歩きやすいようにしてあげたいです。(女子生徒)
○コミュニケーションをとることの大切さ、チームワーク、自分から声をかけることなど、目に見えない大切なことを学びました。周囲をサポートすること、互いのことを思いやり、お互いを知る必要があること、自分だけではなく、人の立場になって考えることを学びました。(男子生徒)

【オリンピック・パラリンピック教育の実施に伴う問題点】

・校内で学習したことを、今後どのように校外に発信していくか
・生徒たちがこの授業で学んだことを生かし、社会に貢献していく場の提供
・スポーツ科学科のみならず、普通科と協力して研究ができないか、またその際のテーマをどうするか